
2024年Yokohama Hot Rod Custom Showに出展した車両です。BMW R75/5でレース参戦されているオーナーさんからは「車種も内容も全部お任せ」というオーダーでしたので、本当に自由に作らせていただきました。実は自分の最初の外国車は大学生の時に長期ローンで購入した1989年式のducati 900ssでして、空冷900のドカエンジンは好きなエンジンの一つ。以前からこの年代のキャブ&ベルトのドゥカティをベースにカフェを作りたいと考えていたので、ベースにはモンスターM900をチョイスしました。タマ数がとても多く値段もこなれているのでカスタムベースには最適です。このM900というモデルは、当時のDUCATI水冷スーパースポーツのフレーム&足回りに空冷エンジンを搭載し、アップライトなポジションの外装を載せたモデルです。これを公道の街中やワインディングを走らせると、そのディメンションや高い剛性により、意外と乗りにくい場面があるのです。今回のカスタムはワインディングを現実的なペースで走らせて気持ちのいい車両、というのをコンセプトとしておりますので、まずはフレームを改造。ステアリングネック位置を少し前方に移動させ、さらにネック角度(キャスター角)を少し寝かせる。ステアリングヘッド付近の横剛性を少し落とす。同時に前後ホイールは18インチに変更し、細めのラジアルタイヤを履かせる。これらの変更により、ワインディングで振り回した時に楽しいバイクに仕立てています。また、このフレームの改造はスタイリングにも大きな影響を与えます。ducatiのトラスフレームをベースにカフェスタイルカスタムを作る場合にネックになるのが、そのフレーム形状。フレームそのままではクラシカルなスタイルを作り出すことは難しい(これがモンスターベースのカフェでかっこいいものが少ない理由)のですが、上記フレーム改造をスタイリングをも見越したデザインとすることで、理想とするフォルムを実現しています。外装デザインは70年代の750Sをイメージ。アルミ叩き出しでタンク&シートカウルを製作し、アルミ素地にクリア&ブルーのラインをデザインしています。アルミ素地とするには、当然パテ無しを前提として板金製作するので、ペイントよりも手間がかかりますが独特の質感は魅力があります。そして、Ducatiといえば赤のイメージが強いですが、70年代はこうしたブルー&シルバーのモデルも多く、そしてロゴが大きいのも定番。90年代のバイクで70年代をうまく再現できたと思ってます。フォークはセリアーニの削り出しレプリカの内部構造を見直して、ワンオフのトップブリッジと合わせてセットアップ。スイングアームは18インチ化に合わせて加工し、ハンドポリッシュにて仕上げています。当然ポン付けできるスポークホイールはありませんので、日本車用のハブを加工し、ホイールセンターやチェーンラインを出し、キャリパーサポートなども製作してスポーク化しています。エンジンはノーマルのままリトモ・セレーノでオーバーホールと外観の仕上げを(現店長は元々ドゥカティディーラーの工場長)。キャブはインマニを加工して前後バンク独立のFCRを装着。これによりタンク下のスペースを確保しています。マフラーは2in1チタン手曲げの等長エキゾーストを製作し、オリジナルのチタンリバースコーンサイレンサーの組み合わせ。フラットトルクで怒涛の加速を味わえるセッティングになっています。ポジションに合わせたステップや前後アルミフェンダー、タイミングカバーなどもワンオフ製作し、無事ロッドショー出展に間に合いました。ショーの後に車検取得しセッティングを煮詰めて納車。狙い通り素直で軽快なハンドリングと、快音を奏でながらの怒涛の加速感は病みつきになります。本当に楽しい車両でオーナーさんが羨ましい仕上がりとなりました。こちらの車両はロッドショーでcool賞をいただきました。
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