2014年、BMW Motorradが企画したR nine T custom projectで製作した車両です。BMWに選ばれた日本のカスタムビルダー4人が、当時発売されたばかりのR nine Tをそれぞれ自由にカスタムするという、それまでには無かった新しい企画。BMWから出された条件はただ一つ、「走る」ということ。自分はノーマル状態で街乗りからワインディング、サーキットまでを走り込み、Clubman Racerというコンセプトで製作することにしました。普段は公道を走り、週末はサーキット走行も楽しむことができるマシン。サスペンションやホイールを変更しスポーツ走行でのポテンシャルを向上させ、タンク&シートカウルはアルミ叩き出しで製作してポジションをスポーツライディングに適したものにするとともに、大幅な軽量化を実現。その他、チタン手曲げ2in1エキゾースト、トップブリッジ、ステップ、アルミシートレール、エアクリーナボックスやチタンエアインテークなど全ての部品を手作りしています。現代のバイクは電装品や装備類が多く、大幅なスタイル変更には苦労させられることが多いのですが、この車両もECUの移設やABSユニットの廃止、その他多くの手間がかかっています(締切前、何日徹夜したことか・・・)。走りとスタイルを両立させることをポリシーとして製作した車両は、完成後のサーキット走行でもそのポテンシャルを確認できました。なにしろこのプロジェクトは世界中で大きな反響を呼び、4台のマシンは世界各国のショーやイベントにも展示され、そこに我々ビルダーも招待していただくという、大変貴重な体験(飛行機のビジネスクラスも初体験!)をさせていただきました。とても思い出深い車両です。その後、ディーラーであるMotorrad 相模原と協力し、これと同じ車両を5台限定で生産、完売しております。

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photo/Ken Takayanagi